おすすめの読みやすいドイツ文学ランキング
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大学時代、ドイツ文学を専攻していたので、おすすめのドイツ文学をランキングにしてみました。そんなにたくさん読んだわけではないので、有名なものばかりです。これからドイツ文学読もうとしている方、是非参考にしてください。
5位 白馬の騎手(テオドール・シュトルム)
貧しい家に生まれた主人公ハウケは、堤防監督官の娘エルケと結婚し、やがて堤防監督の地位を継ぐ。新しい堤防を作ることを提案するハウケだったが、自分たちの負担が増えると村人たちの反感を買ってしまう。
こちらはシュトルムの最後の作品です。とにかく最初から最後まで暗い雰囲気が漂っています。村人との人間関係や、金銭での恨みなどがリアルに描かれています。主人公ハウケがちょっと変な人で、あまり感情移入できるタイプの人物ではないです。悲しいというか、切ないラストが印象的だったので選びました。
白馬の騎手 (RONSO collection) テオドール シュトルム 論創社 2007-10 売り上げランキング : 929783
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4位 変身(フランツ・カフカ)
ある朝、グレゴール・ザムザは目覚めると自分が巨大な虫になっていることに気がつく。こうして虫になったグレゴールと家族の暮らしが始まる。しかし、虫になり働けなくなったグレゴールを家族は段々と疎ましく思うようになっていく……。
これは有名な作品ですね。この物語がカフカの「不安」を表しているという話は良く聞きます。カフカとザムザの母音が一緒であることから、ザムザはカフカの自己投影なのではないか、とか。物語自体ももちろん面白いのですが、色々な考察を読むことでも楽しめる作品です。
虫になったグレゴールに対する家族の変化が非常にリアルです。悲しい筈なのに不思議と悲壮感はほとんど感じない。グレゴールはもしかしたら望んで「変身」をしたのではないか? なんて考えたりもできます。
ドイツ文学を読む上では欠かせない一冊です。是非読んで頂いて、ご自身で考察をしてみてください。
変身 (新潮文庫) フランツ・カフカ 新潮社 1952-07-28 売り上げランキング : 4264
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3位 エーミールと探偵たち(エーリッヒ・ケストナー)
おばあちゃんへのお使いを頼まれたエーミールは、列車の中で大切なお金を盗られてしまう。ベルリンの街で出会った少年たちと共に、犯人をつかまえる大騒動が繰り広げられる。
とにかく読んでいて気持ち良い作品。少年たちが知恵を絞りながら、犯人をつかまえようと奮闘する姿は自然に応援したくなります。読んでいると自然にベルリンの街を少年たちが駆け回る映像が頭の中に浮かんできます。主人公のエーミールはとにかく家族思いの少年で、自分も小さい頃はこのエーミールのように、小さいなりに家族のこと思いやっていたな、なんて思ってしまいました。児童文学ですが、子供さんだけでなく大人にも読んで頂きたいですね。
エーミールと探偵たち (岩波少年文庫 (018)) エーリヒ・ケストナー 岩波書店 2000-06-16 売り上げランキング : 11121
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2位 影をなくした男(シャミッソー)
主人公ペーター・シュレミールは金に困り金策のため富豪の家を訪れる。そこで出会った灰色の服を着た男に、幸運の金袋(望みのままに金貨が出てくる袋)と引き換えにシュレミールの影を渡して欲しいと持ち掛けられる。取引をし、金を手にいれたシュレミールだったが、影がないことで道に出会う人々に非難を受けるようになり……。
こちらはメルヘン小説です。原作は『ペーター・シュレミールの不思議な物語』というタイトルです。この作品って確かに読んでいたら不思議なんです。どうして道行く人々全員が「影がないこと」を非難するのかとか、灰色の服の男は何者なのか、何故影を欲していたのか、とか。世の中にはお金より大切なものがあるんだよっていう教訓小説なんかではないのは間違いないと思いますが。
ちゃんとラストには救いも用意されており、純粋に楽しく読める本です。気軽に読みたい時におすすめです。
影をなくした男 (岩波文庫) シャミッソー 岩波書店 1985-03-18 売り上げランキング : 114125
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1位 飛ぶ教室(エーリッヒ・ケストナー)
舞台はクリスマス時期のギムナジウムという寄宿舎。そこで生活をする5人の少年たちを主人公としており、彼らが知恵と勇気を絞りながら様々な事件を解決し、友情を育み、そして成長していく様子を描いている。
『エーミールと探偵たち』と同じ作者が書いている児童文学作品です。主人公となる5人の少年たちの周りでは大小様々な事件が起きます。時には友達と知恵を絞りながら、時には大人に助言を求めながら、力強く事件を解決していく様子が素晴らしいです。
また、主人公となる5人の少年たちはそれぞれ得意なことや悩んでいることがあります。自分の弱い部分にどうやって向き合っていくのか、彼らは苦悩しながらも決して逃げません。ケストナーは作中で「子どもの涙が大人の涙より小さいなんてことは絶対ない(丘沢静也訳18P)」と言っています。大人になってしまうと、子どもの頃は良かったなんて思いますよね。あの頃は悩みなんてなかったとか。でも決してそんなことはなく、子どもの頃だって大人になった今と同じように悩んでいることがあったはずなんです。大人になっても決してそれを忘れないで欲しい、とケストナーは語っているのです。
子ども時代のことを思い出させてくれる一冊です。是非沢山の人に読んでもらいたい作品です。
飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫) ケストナー 光文社 2006-09-07 売り上げランキング : 107033
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おわりに
以上、おすすめのドイツ文学ランキングでした。
まだまだ読んでみたい作品がいっぱいあるので、何冊か読んだら変わるかもしれないです! ただ『飛ぶ教室』はドイツ文学とか関係なく、好きな小説の中でベスト10に入るくらい好きなので、1位はずっと変わらなそうです。
では、これで終わりとさせて頂きます。